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日経新聞 ―ゴルフ場を抱える上場企業約60社の含み損6000億円― 抜粋

ゴルフホットラインニュース
2002年8月30日(金)

◆減損会計迫る上場企業◆

 赤字が続き資産価値が著しく低下したゴルフ場を抱える上場企業が60社近くあり、含み損の合計額が現時点で約6000億円に達することが日本経済新聞社の調べで明らかになった。
土地などの資産価値が下落した場合に損失計上を義務づける減損会計が2005年度から導入される。
建設業を中心に、低採算のゴルフ場の含み損処理が避けられそうにない。
 資産価値の大半が失われていると判断できる「直近三期以上連続で最終赤字」のゴルフ場を所有する上場企業を調べた。
該当する上場企業は56社、対象ゴルフ場の簿価合計は6053億円だった。
現時点では簿価の大半が含み損になっているとみられる。
減損会計導入までに収益を大幅に改善しなければ、簿価の大部分を評価損として計上する必要がある。
赤字続きのゴルフ場を多く保有する企業の上位には建設業が目立つ。
バブル期に、将来の建設受注を見込んで土地を先行取得。
その一環として、子会社を通じてゴルフ場を建設したケースが多い。
 最も多い大成建設は「白河高原カントリークラブ」(福島県)、「軽井沢高原ゴルフ倶楽部」(群馬県)など5ヶ所の合計簿価が465億円に達する。
うち151億円は2002年3月期に損失引き当てを終えているという。
2番目は大和ハウス工業。
グループ内で保有する10ヶ所のゴルフ場のうち、「シプレカントリークラブ」(奈良県)など8ヶ所で最終赤字が3期以上続いている。
製造業も子会社などが採算の悪化したゴルフ場を抱える例が多い。
河合楽器製作所は簿価124億円の「三木の里カントリークラブ」(静岡県)を子会社が所有。
マルハも簿価92億円の「久慈大洋ゴルフクラブ」(茨城県)を抱える。
全般に1980年代末に開発し、90年代に開場したゴルフ場が目立つ。
その後のプレー料金引き下げ競争や利用者の減少で、当初見込みに比べ収益確保が難しくなっている。
こうした中、減損会計の導入を控えて簿価を前倒しで引き下げる企業も出てきた。
大京は2002年3月期、千葉県の「東庄ゴルフ倶楽部」の評価額を簿価264億円から21億円に下げた。
県内一の集客数を誇るが、売却を前提に含み損を処理した。

 ●簿価、収益に比べ過大●

 企業が実際に抱えている含み損の総額は6000億円を大幅に上回る公算が大きい。
ゴルフ場の収益状況を開示していないため集計対象に入っていないが、数億円単位のゴルフ場資産を抱えている企業は多く、その中に赤字のコースが含まれている可能性があるからだ。
 ゴルフ場資産の多い企業としては、ミサワホーム(11ヶ所・合計1109億円)、東急不動産(14ヶ所・813億円)などがある。
こうしたコースも経営状況によっては評価損の対象になる場合がある。
 減損会計では、土地などが生み出す予想収益から計算した収益還元価値など実際の資産価値に近いと考えられる価値と簿価の差を評価損として計上しなければならない。
 ゴルフ場建設にかかる多額のコース造成費用は減価償却されず、土地などの区分で簿価に計上されている。
 このためゴルフ場の簿価は収益水準に比べ著しく過大な場合が多い。
開発時期や場所によってばらつきはあるが、低いもので20億円前後、高いものは200億円を超える例もある。
 これに対して売却可能額は「黒字で経営内容のよいゴルフ場でも10億円―15億円程度にしかならない。
売るに売れない物件も多い」(大手ゴルフ場運営会社)。
 調査対象とした3期以上連続赤字のゴルフ場は買い手が見当たらないものが多く、収益還元価値もほぼゼロになる可能性が高い。
厳しい環境下で大幅な採算改善は難しく、大半を評価損として処理せざるを得ない公算が大きい。

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