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ゴルフ会員権とは

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ゴルフ会員権とは、会員制のゴルフ場で一般(ビジター)より優先的な利用権、予約・クラブ競技参加等様々なサービスやメンバー料金での利用を受けることができる会員の権利です。

1.ゴルフ会員権の種類

ゴルフ場には設立方法や目的の違いにより、会員制ゴルフ場、パブリック制ゴルフ場[1]があり、会員制ゴルフ場では、大きく分類し「預託金制・株主会員制・社団法人制・任意団体」の4種類あります。

預託金制と株主制違い

1-1.預託金制

預託金制の会員権とは一定の金額をゴルフ場経営会社に預けて会員となる方式で、ゴルフ場経営会社は会員の預託金を資金[2]としてゴルフ場を造り運営する仕組みとなっています。

預けた金は無利子で一定期間据え置かれますが、その後に退会する場合、預託金返還請求ができます。 会員の権利には「預託金返還請求権」と「優先プレー権」があり、ゴルフ場によっては、会員はクラブ運営に参加することができます。

預託金証券(会員権の証書)は、名義書換の都度、裏書・捺印により登録者変更を行ったり、新しい証書を発行したり様々です。新しい証書を発行する場合、預託金返還請求権が発行日より7年・10年・15年といった具合に返還請求権の据え置期間が延びたりするゴルフ場があります。

戸塚CC

返還方法についての記載
発行日より5年間据え置き其の後は請求により御返金いたします。

東京よみうりCC

磯子CC

返還方法についての記載
退会時の際は本預かり証引換後上記の金額を御返し致します。

日本の会員制ゴルフ場の約9割が預託金制です。 代表的な名門ゴルフ場は、戸塚CC東京よみうりCC磯子CCなどがあります。

1-2.株主会員制

株主会員制クラブとは、会社組織のクラブで会員が株主として出資する仕組みの形態で古くからあるゴルフ場に多く、会員には「株主権」と「優先プレー権」があり、株主はクラブの経営に参加でき、株主総会で一票を行使できます。また、クラブが解散になった場合、株主はクラブの財産を持株比率で分配を受ける権利があります。 株主会員制のクラブの評価が高いのは、このように資産と権利について正当に主張できるからです。

小金井CC株券 見本

相模原GC株券 見本

名古屋GC株券 見本

箱根CC株券 見本

代表的なコースは小金井CC武蔵CC相模原GC箱根CC大利根CC名古屋GC、小野GCなど、名門ゴルフ場が名を連れます。

1-3.社団法人制

ゴルフ場経営と会員組織が分かれてなく、会員は社団法人の社員でもあり、クラブのメンバーでもあるという、メンバーの権利が非常に強い会員制度です。

社団法人とは公益を目的とする団体で、利益追求を目的としない公益法人で、昭和41年以降ゴルフ場関係には認可されなくなり、その設立には官庁の許可が必要でした。

名門といわれる古いコースに多く、霞ヶ関CC、東京GC、相模CC。関西では神戸GC、西宮CC宝塚GC(株主会員制)、茨木CCなどその代表的なコースです。これらのコースは会員権の譲渡は原則的には認めず、一代限り(霞ヶ関カンツリー倶楽部・東京ゴルフ倶楽部・相模カンツリー倶楽部等)、または直系者のみが継承する(茨木カンツリー倶楽部、昭和59年以降の募集で入社した社員については可能)ことができる名誉会員といった色彩が濃い会員権で、超名門と言われるに相応しいクラブです。

西宮CC・広島CCなど株主会員制でない場合、証券は存在しません。芦屋CCは社員証書を発行しています。

例外的に譲渡できるゴルフ場・会員権、鷹之台CC(株主会員制)・我孫子GC(株主会員制)・日光CC(株主会員制)・芦屋CC広島CCなどありますす。

1-4.任意団体

社団法人でもなく、株式会社でもない、同好の士が集まりつくった古い会員制ゴルフ場に任意団体がありますが、極めて少ないです。

軽井沢GC廣野GC、函館GCなど日本では数少なくなった団体です。

軽井沢GCは日本で最もプレーするのが難しいといわれています。クラブハウスにはプレーヤー以外立ち入り禁止で、新聞記者、警護人、秘書や運転手などは入れません。会員の推薦があれば、夏の一時期を除けばビジターのラウンドは可能ですが「プロゴルファー」は出入り禁止となります。超名門でありなが服装は開放的なことでも知られています。

廣野GCはC・H・アリソン設計の日本のベスト18ホールと謳われる日本を代表するコースで一度はプレーしてみたいものです。

1-5.その他 中間法人 間接株主会員制

株主会員制には、会員が直接株式を保有して、会社を運営する直接株主制と、株式を中間法人に預けて委託する間接株主会員制の2つがあります。 ゴルフ場事業会社の株式を中間法人が所有することで、会員が間接的にゴルフ場事業会社の経営に反映させることができます。
決定機関を理事会に委ねるゴルフ場が多く、会員の意見を集約しゴルフ場の運営にあたります。

例:鳩山CC「民事再生-再生計画案で中間法人へ」
※継続会員は同中間法人の社員となり、現預託金68.8%カット後の31・2%を同中間法人に債権譲渡する。これにより、会員は同CCの間接株主会員となる(名変は認可決定確定日から2ヶ月後開始)。
2018年3月28日に2度目の民事再生の適用を申請、今後は株主会員制移行も視野に入れています。
※2018年11月30日開催の債権者集会で再生計画案が決議され、賛成多数で可決し、会員が株式を持つ直接の株主会員制に転換。

例:石坂CCの募集会員権の取り扱い
※預託金は、現会員と同様に、鳩山スポーツランド(株)の全株式を保有する中間法人石坂クラブに信託譲渡。 据置期間は10年で期間満了後の退会は、〝退会の前年度の経常利益(現金ベース)の50%を限度として返還〟と定めている。

他に清川CC鳳琳CC大栄CC飯能グリーンCCカレドニアンGCなど

1-6.プレー権会員制

預託金のない会員権でプレー権ともいいます。法的整理や競売、経営交代などで預託金の回収不能となった際に、継続会員などに対して無償に近い形でプレー会員権を発行したゴルフ場の制度があります。

最近ではプレー権のみの会員権を募集するゴルフ場も増えてきています。プレー権会員権は無額面の証券が発行され、会員の権利には「預託金返還請求権」がなく、入会金のみ募集となっています。お手頃価格でメンバーになれますが、将来売却する際は、換金性に乏しいものも少なくありません。会員権支払い時の入会金は、名義書換料と同じような枠組みで捉える必要があります。

2.ゴルフ会員権の種別

2-1.正会員権

コース定休日を除いて全日メンバー料金にてプレーが可能で、一般のビジターより優先的にプレー権が保証されています。また、全てのクラブ競技会に参加でき、ゴルフ場によっては理事・委員などに選任されクラブ運営に参画することもできます。ゴルフ会員権市場での流通性は圧倒的に正会員権が多く、換金性優れています。

2-2.平日会員権・週日会員権[3]

コース定休日を除く月曜~土曜、あるいは月曜~金曜の平日をメンバー料金にてプレーが可能で、一般のビジターより優先的にプレー権が保証されています。

クラブの定める平日競技会などにに参加できます。正会員権と比べ年会費のコストや入会費用(名義書換料・正会員の半額程度)が抑えられます。

[3]^ 平日会員権・週日会員権

2-3.婦人会員権

女性の入会制限をしているゴルフ場で、女性名義の会員権を指します。ゴルフ場が付帯設備「浴室・トイレ・ロッカー」などの問題により女性の入会に規制や制限をかけている場合、女性名義の会員権を婦人会員権と呼んでいます。

女性制限がある場合、女性が入会する際は女性からの譲渡しか認めていないので、婦人会員権は一般的の男性会員権と比べプレミアム[4]が付き割高(一般の5割増し価格になることもあります)となります。

[4]^ 婦人会員権のプレミアム

3.名義書換(名義変更)

利用者が変わったらゴルフ場規定の名義書換料を支払い、新しい利用者に名義を変更します。入会時にゴルフ場に一度のみ支払う手数料のようなもので、ゴルフ場の大きな収入源となります。また退会時には戻りません。名義書換をもってゴルフ場「施設優先利用権・預託金返還請求権(預託金制)・株主権(株主制)」の移転を行います。

3-1.ゴルフ会員権の名義書換

名義書換の方法は各ゴルフ場により異なり、会員権を購入したからといって誰でも入会できるわけではなく、ゴルフクラブの定めた入会条件を満たした方のみが入会を認められ、所定の手続きを経て名義を書換えることができます。

名義書換料はゴルフ場によって異なり、30万円台から300万円台が大半で、なかには1000万円を超えるゴルフ場もあります。

ゴルフ会員権の名義変更についてもっと詳しく

3-2.入会金・入会保証金(入会預託金)の取り扱い

入会金や入会保証金(入会預託金)は、会員としてクラブに入会するときに有する費用で、名義書換料の他に設けているゴルフ場があります。 入会金は、設けているゴルフ場の多くの場合、退会時には戻りません。それに対し入会保証金(入会預託金)は所定の手続きを経て退会時に返してもらうことができます。入会保証金には利息は付かず、不動産賃貸の敷金に近い性質です。

入会金・入会保証金(入会預託金)の取り扱いについてもっと詳しく

4.年会費

ゴルフ場の年会費とはゴルフ場施設を使う・使わないに関わらず、毎年定額でかかる費用で、ほとんどのゴルフ場メンバーは年会費を負担しています。通常は年会費制で年に1回払うことが多くゴルフ場の大きな収入源となります。

ゴルフ場によっては年会費の支払いが滞った場合除名処分を会則で決めているところもあります。また、特例である一定の期間免除[5]しているゴルフ場もあります。

最近の傾向として、経営状態の厳しいゴルフ場は、年会費を値上げする傾向にあります。年会費を上げることでのメンバーとしての付加価値が伴わないと市場が判断した場合、会員権価値(会員権相場)ではその値上げ幅を織り込めず相場に悪影響を及ぼすことがあります。
例 2011/08当時 嵐山CC 年会費を7.35万(正)から15万へ 会員権相場 40万から10万へ下落

年会費の形態はゴルフ場によってさまざまで、年会費を継承[6]できるゴルフや継承できないゴルフ場、年会費が無料という会員制クラブもありますが、メンバーの負担金として年間2万円から5万円徴収しているところが多いようです。

年会費の高いゴルフ場(2021年)では33万(小金井CC-東京都)・16.5万(西宮CC-兵庫県)・19.8/万(我孫子GC/鷹之台CC-千葉県)・15.7万(嵐山CC-埼玉県)などがあります。

[5]^ 年会費の免除

[6]^ 年会費の継承

5.まとめ

ゴルフ会員権はゴルフ場の施設利用権・預託金返還請求権(預託金制)・株主権(株主会員制)からなり、名義書換を行っているゴルフ場は、書換することで権利の移転ができます。ゴルフ会員権相場は諸事情で変動し、流通市場で取引(時価で売買)されています。

脚注

[1]^ パブリック制ゴルフ場

[2]^ 新規預託金制ゴルフ場募集について

ゴルフ会員契約適正化法第4条

施設開場前に会員募集を行った後、契約した事業者が倒産して施設が開設されなかったなどの消費者トラブルを防ぐ目的のため。 ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律(平成4年法律第53号 以下「ゴルフ会員契約適正化法」といいます。)平成4年に成立、平成5年5月19日から施行されています。

法律の対象となる会員契約とはどのようなものですか。

■法律による会員契約の締結時期の制限■

契約適正化法第4条とは、ゴルフ場等の会員制事業については、施設開設前に契約したが、事業者の倒産等により施設が開設されなかったという消費者トラブルがみられたこと等から、ゴルフ会員契約適正化法第4条において、原則として会員制事業者又は会員契約代行者は、会員契約に係る施設が開設された後でなければ、当該施設に係る会員契約の締結をしてはならないこととされています。

ただし、会員制事業者が、①政令で定めるところにより、当該施設が開設されないこととなった場合において会員制事業者が会員に対して行うべき拠出金の返還につき、その額の2分の1以上の額に相当する額の金銭の会員に対する支払いを担保する契約(保証委託契約)を締結し、②当該施設の開設に係る工事に関し、法令に基づく許可等の処分で本法又は政令で定めるものが必要である場合には、当該処分があった後に、③経済産業大臣にその旨を届け出た場合においては、会員制事業者又は会員契約代行者は、当該保証委託契約に係る会員契約を締結することができることとされています(具体的な届出様式については、施行規則様式第2に定められています。)。これは、このような条件が満たされた会員契約の締結については、会員の利益の保護の観点から施設開設後の契約締結と同等に評価し得るとされたことによるものです。

出典:経済産業省 商務情報政策局 商取引監督課 ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律

現在は、施設開設前の会員契約締結の禁止により、50万円以上の会員募集はゴルフ場ができるまでできません。

対象外のゴルフ場「株主制(一部対象外あり)・社団法人制・外国(日本国外での募集)のゴルフ場」