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2010/07/14 預託金按分返還に賛成の会員、一括返還を求め勝訴
預託金返還方法の変更を書面で賛成した会員が、その後に預託金の一括返還を求め提訴した事件で、最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は6月29日、会員の主張を認めた名古屋高裁の判決を支持し、ゴルフ場会社側の上告を棄却する決定を下した。

一審の名古屋地裁は会員側が敗訴したが、平成21年9月10日判決の名古屋高裁民事第4部(岡久幸治裁判長)は、一審判決を取り消して会員勝訴となりゴルフ場会社が上告していた。

訴えられたのは鳴海CC(18H、愛知)を経営する(株)鳴海カントリー倶楽部で、訴えたのは平成2年に預託金2000万円の会員権を2口購入した法人会員。

会員は、合計4000万円を一括で支払うよう(株)鳴海CCに求めていた。

判決文によると、預託金返還問題を抱えていた(株)鳴海CCは問題解決のため、〝毎年、返還原資を定める〟、〝返還希望総額が原資を超える場合は按分配布する〟、〝預託金返還審査委員会を設置する〟旨の議案・説明文を配布した上で、平成17年6月27日にクラブ会則に基づき定時会員総会を開催。

総会には書面を含め648名の会員(総会員数は1211名)が出席し、会員627名、率にして96.8%の賛成で議案を可決した。

訴えていた会員は、総会には出向かなかったが、その議案に賛成する旨の書面を(株)鳴海CCに送付した。

なお、総会後、議案に賛成しなかった会員(以下=反対会員)には「法的拘束力を有しない」とし、(株)鳴海CCは任意や裁判手続等を経て個別に預託金の返還を行なってきた。

会員は、
①(株)鳴海CCとゴルフクラブは別の団体で、クラブの決定が(株)鳴海CCと会員の法律関係を左右することはない。

②議案では年間の返還原資を定めるとしているものの、一部会員(反対会員)には別途の返還に応じているので、決議結果を遵守していない――などと主張し、4000万円の一括返還を求めた。

これに対し(株)鳴海CCは、
①会員は議案に賛成しており、議案に従った預託金の返還に合意している。

②〝総会において〟議決に先立つ議案の説明で、反対会員との関係では法的拘束力を有しないと説明している―などとして賛成した会員は一括請求できないとした。

地裁では、会員組織のゴルフクラブは〝極めて社団的な団体〟と認めて、「(クラブの総会を通じて)会員と(株)鳴海CCの間で法律関係を形成することが可能」と判断し、「議案にしたがった方法で預託金返還を受ける旨の合意が設立している」と判断。

反対会員に別途の預託金返還に応じている件については「不合理ではない」として会員の訴えを退けた。

しかし高裁は、
①クラブ理事会の理事は、約3分の2が(株)鳴海CCの役員。

②会員は、入会金や会費等は(株)鳴海CCに支払っている――等から「遮断としての実態を有しない」とした。

また、会員の権利義務に影響する事項は「団体法理(多数決)に処理されるものではなく、個々の会員の個別的承諾が必要」と論じている。

さらに、会員は総会を欠席し〝議決に先立つ議案の説明〟を聞いていないので、「すべての会員がその結果(決議結果)に法的に拘束されると理解する」とした(つまり、総会前に配布した議決の説明文は不十分で誤解を招いたと指摘)。

これらのことから、ゴルフ場会社に預託金の一括返還を命じる逆転判決となり、最高裁もこの高裁判決を支持した。

このようなことから(株)鳴海CCは7月5日に民事再生法を申請している(勝訴した会員の4000万円は再生債権となり再生計画に基づく弁済を受けることになる)。

なお名古屋高裁では、過去に同じ裁判長が預託金の据置期間延長に同意した会員(法人会員)の返還請求を棄却する判決を下している。

その判決には、今回の高裁判決文にある〝個別的承諾〟とした表現はないが、個別的承諾があったとした判決といえる。

=ゴルフ特信 提供=
2010/07/06 預託金訴訟敗訴で民事再生法申請
㈱鳴海カントリー倶楽部は7月5日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。

平成10年代に会員総会の決議で、退会会員には預託金を分割弁済することを会員の過半数の賛成で決議するなどしたが、賛成した会員を含め預託金返還の裁判を提起され、先ごろ敗訴した。このため預託金返還の目途が立たなくなり、加えて多数の会員のプレー権を守るために再生法を申請したという。

負債総額は、会員1211名(1328口)の預託金約52億4822万円を含め57億5161万円余となっている。

同社では自主再建を目指すとしており、資金繰りのためのDIPファイナンス先を確保しているという。

債権者説明会は、7月12日午後6時から緑信用農業協同組合本店(名古屋市)で開催する予定。

=ゴルフ特信 提供=
2010/07/06 民事再生手続き開始申請のお知らせ
㈱鳴海カントリー倶楽部は7月5日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。

負債総額は、会員1211名(1328口)の預託金を含め57億5161万円余。